銀行業務検定 税務3級の難易度は?勉強時間や合格率、おすすめテキストについて解説

銀行業務検定 税務3級とは

 銀行業務検定とは、簡単にいうと「金融業界に関する基本的な知識を評価する試験」です。金融業界に就職した新社会人が日常業務で必要な知識を身につけることができるため、多くの企業で取得必須資格&昇格要件となっています。銀行業務検定協会HPでは以下のように掲載されています。気になる方はご参照ください。 

現在、以下のような23系統36種目の試験が実施されております。
青字になっている資格名をクリックすると、各資格の紹介ページに移動します。

  • 法務
    ・融資管理3級
    法務2級
    法務3級
    法務4級
  • 融資・渉外
    ・経営支援アドバイザー2級
    ・CBT DXサポート
    ・CBTサステナブル経営サポート
    (環境省認定 脱炭素アドバイザー ベーシック)
    ・窓口セールス3級
    ・法人融資渉外2級
    ・法人融資渉外3級
    ・事業性評価3級
    ・個人融資渉外3級
    ・事業承継アドバイザー3級
  • 財務
    財務2級
    財務3級
    財務4級
  • 外為
    ・外国為替2級
    ・外国為替3級
  • 相続
    ・相続アドバイザー2級
    ・相続アドバイザー3級
  • 預かり資産等
    ・投資信託3級
    ・デリバティブ3級
    ・金融商品取引3級
    ・預かり資産アドバイザー2級
    ・預かり資産アドバイザー3級
    ・保険販売3級
  • 税務
    税務2級
    税務3級
    税務4級
  • 信託・証券
    ・証券3級
    ・信託実務3級
  • 年金
    ・年金アドバイザー2級
    ・年金アドバイザー3級
    ・年金アドバイザー4級
  • マネジメント
    ・営業店マネジメントⅠ
    ・営業店マネジメントⅡ
  • 金融経済
    ・金融経済3級

 その中でも「税務3級」は税務の分野(具体的な内容は試験内容、試験範囲に書いてあります)に特化した試験です。銀行等金融機関の渉外担当者や顧客相談担当者を対象として、所得税や相続・贈与税、法人税等の知識の習得程度を判定します。税務の試験は2級、3級、4級の3つのレベルがあり、そういう意味では標準クラスの難易度といえます。

税務3級は、証券外務員二種金融コンプライアンス・オフィサー2級と同様、多くの銀行で取得必須資格となっています。ぜひタクスの教材を使って1発合格してくださいね!

合格率・難易度

2023年10月試験における業態別の成績は以下の通りです(年齢・勤続年数は受験者の平均です)。
年によって多少前後するものの、平均するとおおよそ合格率は30%前後です。

都銀
特銀
地銀信託第二
地銀
信金信組
応募者数(人)
応募比率(%)
5
0.14
944
26.76
17
0.48
354
10.04
1,071
30.37
234
6.63
受験者数(人)
受験率(%)
3
60.00
801
84.85
13
76.47
290
81.92
928
86.65
195
83.33
合格者数(人)
合格率(%)
2
66.67
283
35.33
8
61.54
104
35.86
260
28.02
36
18.46
平均点(点)54.0051.7059.6950.4248.0744.45
年齢(歳)25.026.227.827.930.732.3
勤続年数(年)2.03.22.45.28.410.2
信連
農協
労金生保
損保
証券郵政他団体
個人
全体
応募者数(人)
応募比率(%)
549
15.57
15
0.43
26
0.74
1
0.03
12
0.34
299
8.48
3,527
100.00
受験者数(人)
受験率(%)
498
90.71
10
66.67
22
84.62
1
100.00
9
75.00
237
79.26
3,007
85.26
合格者数(人)
合格率(%)
156
31.33
4
40.00
13
59.09
0
0.00
2
22.22
112
47.26
980
32.59
平均点(点)48.6650.0056.4556.0051.3355.7749.87
年齢(歳)34.427.034.827.036.333.330.2
勤続年数(年)12.04.58.30.07.48.97.2

試験内容

通常方式とCBT方式の違い

試験の受験方法は、通常方式と、好きな日時でテストセンターに行きPCで受験をするCBT方式の2つがあります。
それぞれの内容は以下の通りです。

通常CBT方式
受験料5,500円(税込)5,500円(税込)
持込品受験票、筆記用具(HB程度の鉛筆・シャープペンシル、消しゴム)、
電卓(1台のみ使用可。ただし、金融計算電卓、関数・メモ機能付は不可)
受験票
出題形式五答択一式(マークシート)CBT五答択一式 120分
科目構成
出題数
所得税     20問
(金融商品と税金:5問、不動産所得・譲渡所得:7問、その他の所得税:8問)
相続税・贈与税 18問
法人税      7問
その他の税金   5問
所得税     20問
(金融商品と税金:5問、不動産所得・譲渡所得:7問、その他の所得税:8問)
相続税・贈与税 18問
法人税      7問
その他の税金   5問
合格基準100点満点中60点以上(試験委員会にて最終決定される)100点満点中60点以上
正解発表
成績通知
正解は試験実施3日後(原則として17:00以降)に銀行業務検定協会HPで公表。
合格した方には試験実施約4週間後から成績通知書と合格証書が送付される(解答用紙の返却はされない)。
即時判定。
試験終了後にスコアレポート・出題項目一覧が配布される。
合格者は受験日の翌日以降にマイページから合格証書をダウンロード可能。

最新の試験日

通常の受験方法では、年2回(毎年6月と3月)試験が行われます。次回以降の試験で日程が確定しているものは以下となります。(CBT方式は、基本的に好きな日時で受験できます。)

実施日開始時刻〜終了時刻
2024年10月27日(日)13:30~15:30(午後)
2025年3月2日(日)10:00~12:00(午前)

税務3級は、何かと他の資格(法務3級など)の試験日程と被ることがあります。そのようなタイミングでダブル受験をする方がいますが、個人的にはあまりおすすめしていません。

というのも、ダブル受験をすると受験する試験両方とも十分な勉強時間を確保できず、全落ちになるリスクがあるためです。まさに「二兎追うものは一兎も得ず」の状態です。そのため、1日1試験ずつ、着実に受験していく方がおすすめです。

ちなみに、銀行業務検定の中で、CBT方式に対応しているものは以下の試験です。税務2級はCBT方式に対応していないため注意してください。

・財務3級
・財務4級
・法務3級
・法務4級
・税務3級
・税務4級
・年金アドバイザー3級
・年金アドバイザー4級
・相続アドバイザー3級
・信託実務3級
・事業性評価3級
・事業承継アドバイザー3級
・DXサポート

試験範囲

 試験範囲は以下の通りです。全部を取り扱うとキリがないため、本サイトでは出題頻度が高い論点を中心に取り扱っていきます。

所得税
  1. 各所得と所得の金額の計算
     利子所得 / 配当所得 / 不動産所得 / 事業所得 / 讓渡所得 / 給与所得 / 一時所得 / 雑所得 / 山林所得 / 退職所得
  2. 課税標準の計算
     損益通算 / 純損失の繰越控除 等
  3. 所得控除
     雑損控除・医療費控除 / 生命保険料控除・地震保険料控除 / 寄附金控除・障害者控除 / 配偶者控除・配偶者特別控除 等
  4. 税額計算と税額控除
     税額計算 / 税額控除(配当控除・住宅借入金等特別控除)等
  5. 申告・納付
     確定申告・申告書の提出期限 / 延納 / 修正申告・更正 / 青色申告 等
  6. その他 (金融・保険商品税制 / 源泉徴収制度 等)
相続税・贈与税

《相続税》

  1. 相続人の判定等(法定相続人 / 法定相続分 等)
  2. 相続財産の範囲
     課税財産(本来の相続財産、みなし相続財産)・非課税財産 等
  3. 課税遺産総額の計算
     課税価格の合計額の計算(債務控除・葬式費用の範囲等、生前贈与加算、相続税の評価特例等) / 基礎控除額 等
  4. 税額の計算と税額加算・税額控除
     相続税の総額の計算 / 納付税額の計算 / 相続税額の2割加算・ 税額控除(贈与税額控除・配偶者の税額軽減・未成年者控除) 等
  5. 申告・納付(申告書の提出期限 / 延納・物納等)

《贈与税》

  1. 贈与財産の範囲(課税財産・非課税財産 等)
  2. 税額計算(暦年課税方式)
     課税価格の計算 / 基礎控除額 / 税額計算 等
  3. 贈与税の課税特例
     配偶者控除の特例 / 住宅取得資金贈与の特例 等
  4. 申告・納付(申告書の提出期限 / 延納 等)
  5. 相続時精算課税制度
     贈与者・受贈者の要件 / 特別控除額・税額計算 / 特例 等

《財産評価》

  1. 土地等の評価 (宅地の評価 / 貸家建付地の評価 等)
  2. 建物の評価
  3. 動産の評価
  4. 株式の評価(上場株式等の評価 / 取引相場のない株式の評価)
  5. 金融資産等の評価
法人税
  1. 法人の種類と納税義務等
  2. 所得の計算
     益金の額損金の額 / 収益の税務(受取配当等の益金不算入 等)/ 資産の税務(棚卸資産・有価証券・固定資產・繰延資産 等)/ 費用の税務(給与・寄附金・交際費等・租税公課・減価償却費等)/ 損失の税務(資産の評価損・貸倒損失等)/ 圧縮記帳 / 引当金・準備金 等
  3. 税額計算・申告(青色申告 / 確定申告・中間申告 等)
その他の税金
  1. 個人・法人の住民税・事業税(申告・納付 等)
  2. 不動産にかかる税金
     不動産取得税(課税対象, 課税標準の特例等)/ 固定資産税(納税義務者, 課税標準, 減額特例等)/ 登録免許税(課税範囲, 納税義務者, 課税標準等)等
  3. 消費税(納税義務者 / 課税期間 / 課税取引・非課税取引等)
  4. 印紙税(課税文書・非課税文書 / 納税義務者 等)
  5. その他
     附带税(延滞税, 利子税)等

具体的な勉強方法

①授業動画を視聴する

こちらのリンク先にある授業を視聴します。各授業は出題頻度別にレベル分けしてあります。

☆☆☆☆☆:ほぼ毎回出題!☆☆☆☆:出題確率約80%
☆☆☆:出題確率約60%
☆☆:出題確率約40%
☆:出題されてはいるけども…

②演習問題を解く

こちらのリンク先にある演習問題を解きます。

また、YouTube Shortsでも毎日問題を投稿しています!(YouTube shortsの問題は、理論問題のみです。通勤時間等のスキマ時間で活用してください)

③問題集・過去問を解く

「演習問題だけでは問題数が少なくてちょっと不安…」「合格可能性をもっと上げたい!」という方は市販のテキスト・問題集を見ておくといいでしょう。おススメのテキスト・問題集は下記「おすすめ教材」で紹介しています。

おすすめ教材

公式テキスト

第1編 所得税

 1 所得税の仕組み
 2 所得税の税額計算の流れ
 3 青色申告
 4 配当所得
 5 利子所得
 6 株式等の譲渡所得
 7 NISA制度
 8 不動産所得
 9 事業所得
 10 給与所得
 11 退職所得
 12 譲渡所得
 13 土地・建物等の譲渡所得
 14 一時所得
 15 雑所得
 16 損益通算
 17 損失の繰越控除
 18 所得控除
 19 配当控除
 20 住宅借入金等特別控除
 21 収入金額
 22 必要経費
 23 売上原価
 24申告
 25納付

第2編 相続税・贈与税

 1 遺産分割・遺産分割協議・遺言
 2 相続人と相続分
 3 相続税の意義と相続税の納税義務者
 4 相続税の課税財産とみなし相続財産
 5 相続税の非課税財産
 6 債務控除と葬式費用
 7 相続開始前3年以内の受贈財産
 8 宅地の評価
 9 小規模宅地等の課税価格の計算の特例
 10 上場株式等の評価
 11 取引相場のない株式の評価
 12 配偶者居住権の評価
 13 その他の財産の評価
 14 相続税額の計算
 15 各相続人・受遺者の相続税額の計算
 16 税額の2割加算・贈与税額控除
 17 配偶者の税額軽減
 18 未成年者控除・障害者控除
 19 相次相続控除・外国税額控除・相続時精算課税分の贈与税額控除
 20 非上場株式等にかかる相続税の納税猶予制度
 21 相続税の申告
 22 相続税の納付・加算税・連帯納付義務
 23 贈与税の性格と納税義務者
 24 贈与税の非課税財産
 25 贈与とみなされる財産
 26 贈与税の計算・申告・納付
 27 贈与税の配偶者控除
 28 相続時精算課税制度
 29 住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度
 30 非上場株式等にかかる贈与税の納税猶予制度,
 31 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例
 32 教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度

第3編 法人税

 1 法人税の納税義務と課税所得の範囲
 2 同族会社と特別規定
 3 所得金額の計算
 4 収益の計上基準
 5 受取配当等の益金不算入
 6 棚卸資産の評価
 7 有価証券の損益
 8 減価償却資産の償却費
 9 绿延資産の償却費
 10 役員の給与・賞与・退職給与等
 11 寄附金の損金不算入
 12 交際費等の損金不算入
 13 租税公課
 14 引当金
 15 欠損金の繰越しと繰戻し
 16 税額計算の仕組みと税率
 17 税額控除
 18 申告,納付

第4編 その他の税金

 1 消費税
 2 印紙税
 3 住民税(道府県民税・市町村民税)
 4 事業税
 5 地方消費税
 6 不動産取得税
 7 固定資産税

税務3級試験の公式テキスト。各論点の内容もちろん、重要性に関しても解説されています。
「授業動画だけでは不安…」「もっと網羅的に学習をしたい!」「紙のテキストが欲しい!」という方は購入を検討してみてもいいかと思います。

・問題解説集

第1編 所得税

 1 配当所得
 2 金融商品に対する課税
 3 不動産所得
 4 譲渡所得
 5 その他の所得等
 6 所得控除
 7 税額控除
 8 確定申告・青色申告等

第2編 相続税・贈与税

 1 相続税の(非)課税財産
 2 相続税の課税価格の算入・控除
 3 財産の評価
 4 相続税の税額加算・税額控除
 5 課税遺産総額, 相続税の総額・算出相続税額の計算等
 6 相続税の申告・納付, 延納・物納等
 7 未分割遺産の課税
 8 贈与税の課税対象
 9 贈与税の配偶者控除
 10 贈与税の申告・納付・税額計算
 11 その他の贈与税
 12 相続時精算課税制度

第3編 法人税

 1 法人税の納税義務
 2 受取配当金
 3 減価償却資産
 4 有価証券
 5 繰延資産
 6 役員給与等
 7 寄付金
 8 交際費等
 9 租税公課
 10 法人税の申告・税額計算
 11 法人税の特例

第4編 その他の税金

 1 住民税
 2 事業税
 3 固定資産税
 4 不動産取得税
 5 印紙税
 6 消費税

過去の試験問題について簡潔に解答と解説が記載されています。解説内容が少し分かりにくいので、タクスの授業動画と併用する使い方がおススメです。

・直前整理70

試験直前に重要論点を復習したい時に利用します。重要な論点がコンパクトにまとまっているので、短時間でこれまでの学習の総洗いをすることが可能です。ただ、あくまで前述のテキストや問題集をしっかりやっていることが、前提として作られているので、「これだけやっとけば大丈夫(^^) 」というものではありません。その点ご注意ください。